あたしはまた、空に目線を写す。


空は好きだ、とあたしは思う。

大きくて、広くて、それから優しい。

だって、空は誰にでも平等だから。

時々、全てを忘れて空を眺めていたくなる。


「なんかさぁ、目ぇ合ってんのにお前の目は、あたしを見てない。つーか、どこも見てない気がする」


なんとなく、なんとなくだけれど、小鳥遊の笑顔の裏に、瞳の奥に、影がある気がしていた。


「ははっ……そうかな……」


あたしは、違和感を覚えて奴の癖毛をつかんでいた。驚いたように、目を見開くそいつ。


「水澤さん?どうしたの」
「なんかムカつく。……お前の愛想笑い、ムカつく。それに触れられたくないなら、そう言えば良いじゃん。ごまかすな」