あのオンボロアパートからは出て行き、今はもう少しましなところに住んでいる。
母親は夜の仕事を辞め、飲食店のバイトについた。
親娘2人。
なんとか支え合って生きている。
「水澤ぁ。その髪色どうにかなんねぇのかぁ」
「地毛です」
「嘘つけぇ!ハーフかお前は!」
通りすがりの先輩に嫌味を言われたが、笑顔であしらい、更衣室へ。
金髪は誰に注意されても、やめなかった。
「お疲れっした。お先に失礼します!」
着替えて会社を出、街中を歩き始めた。
冬晴れが心地よく、あたしは空を仰ぐ。
「外国の空ってどんな感じなんだろうなぁ」

