君に奇跡が起きますように



小鳥遊は吹き出すように笑った。


何笑ってんの、と言う意味を込めて小鳥遊を睨むと、慌てたように手を振った。


「いや、なんか初めてまともな会話したなぁって思ってさ」


否定できない。


この1週間会話は成り立ってなかった。

そりゃそうだ。


小鳥遊が意味不明な言葉を言うだけなのだから。あたしは大抵無視だ。


一体どんな引き出しを使えば、こんなあたしにかける言葉があんなに見つかるのだろう。


ふと思い立って、あたしはそいつの顔を覗き込んだ。

視線が重なり、奴はどうしたの、と目で訴えてきた。

黒目の回りに、うっすらと茶色い円があった。


「なんか、お前の目不思議」
「どうして?」