「
とにかく最後なんだから、1人の時間が欲しくて1人暮らしを始めた。
なにか趣味とか、やりたいことでも見つけて、死ぬ前くらい楽しいって感じてみたかった。
普通に人と同じになってみたかった。
わざわざ県外の高校を受けてまで、ね。
水澤さんに出会ったのは、そんなときだった。
俺は相変わらず、ずっと下向いて歩いてた。
そのせいで友達と話していた水澤さんとぶつかっちゃったんだ。
水澤さん、焦った顔して謝ってきた。
散らばってしまった荷物を拾って、ごめん、って。
その時、金髪が光に反射してキラキラしてた ……。
思わず言ったんだ。
『天使みたい』って。
そしたら水澤さん、きれいな笑顔で笑って、言ったんだ。
『前向いてた方が、いいことあるよ』
って。
──一目惚れだった」
息を呑んだ。
きっとまだ、やさぐれが完了していなかった頃の自分だ。

