君に奇跡が起きますように



「俺は大丈夫だから」
「……わかった」


頷いたのは小鳥遊の父親だ。


きっと、小鳥遊の性格も、この人に似たんだろうな。


こんなときに漠然とそんなことを思った。


泣きじゃくる母親を連れ、小鳥遊父は病室を出て行った。


しん、と静まり返った病室。


聞こえるのは無機質な機械音だけだった。


喉がカラカラに乾いて、ゴクリと唾を飲み込んだ。


大丈夫だから。

そんな小鳥遊の言葉の後ろに、『まだ』という単語が聞こえてくるようで、痛かった。