君に奇跡が起きますように




「水澤さんって、髪綺麗だよね」


小鳥遊はふふ、と微笑んであたしの髪を褒める。

そのセリフはもう何回も聞いた。


どんだけ髪の毛が好きなんだか。

あたしからしてみれば、あまり嬉しくはない。


好き好んで金髪にしているわけじゃないから。

まぁ、自分で決めたんだけれど。


あたしはチラリと小鳥遊を見てから髪に指を通した。


「なんでいつもここにいるの?昼休み」
「……ここにいるとさぁ、何もかも小さく見える。人も、建物も。
その度に、なんだ、あたしこんな狭い所で生きてんだっていつも思うんだよね」


そうすると、あたしが悩むこととか見ていることも全部、ちっぽけに感じる。

だから、ここに来る。


ほんの少しだけ、気持ちが軽くなる。


「……ふはっ!」