君に奇跡が起きますように



やりきれなくて、声が震えてしまう。

小鳥遊のこんな弱々しい声は初めてだ。

あのときよりもずっと、か細くて頼りない。


天使みたい。

どうして小鳥遊はそんなことをあたしに言うのか。



「京弥!ねえ、お願い。今からでもまだ間に合うわ。手術を……」


「母さん、ごめん。父さんも、少し席外してくれない?」


小鳥遊の言葉に、小鳥遊の母親は目を丸くした。

「京弥!?」

「水澤さんと話したいんだ」


小鳥遊は頑なな声で言う。

あたしは拳を握りしめることしかできなかった。



こんなときに、親に席を外せだなんて、なんてことを言うんだ、とか。


そんな言葉もでてこない。