君に奇跡が起きますように



「あの!小鳥遊はっ、どういう……?」


「……何も聞かされていなかったんだね」


彼は一つ一つ丁寧に説明してくれた。


小鳥遊は、生まれつき心臓が悪いこと。


手術は難しく、海外でしかできないこと。

小鳥遊は手術を受けたがらなかったこと。

そして──


手術を受けなきゃ、死んでしまうこと。



話を聞いて、これまでの小鳥遊の行動と繋がることがいくつかあった。


たまに用事があると言っていたのは、病院だったんだ。


いつも一歩引いて、達観していたように見えたのは、同世代の中で誰よりも、死に近かったからなんだ。



それをずっと、小鳥遊は隠していたんだ。