君に奇跡が起きますように



涼しい風が、頬を撫でる。あたしは思わず目を閉じた。


心の奥底から、何かがスーッと抜けて行く感覚に襲われる。


風の流れに合わせて、校庭の木々は揺れ、カサカサと音を立てる。


「屋上、好きだね」
「またお前かよ……」


こうして付きまとわれて、もう一週間が経つ。

小鳥遊は夜もあの場所へやって来る。

あたしが何を言っても、小鳥遊は楽しそうに笑う。

教室にもよく顔を出し、いつも大我に睨まれている。


あたしはというと、この一週間毎日学校に来ている。

多分、気まぐれなんだろうけど。


小鳥遊は、ぼんやりと空を眺めるあたしの隣に座った。


飛行機雲がチョークで引いたように、まっすぐに延びていく。