気を悪くさせるんじゃないかと少し心配していたので、肩から力が抜ける。 小さく頷いてみせる。 「だって、あたしお前の事知らなかった。話したこともなかった、よな?」 「一回だけ、あるんだ。話したこと。その時からかな」 懐かしそうに言った小鳥遊を私は驚いて見つめる。 あの日の前に話した記憶なんて全くない。 なんとか思い出せないかと眉間にしわをよせると、小鳥遊はふはっ、と笑った。 「覚えてないよね。まぁ、仕方ないよ。本当に少しだったしね。 それより、眉間のしわ取れなくなっちゃうよ?」