君に奇跡が起きますように



「そりゃ、水澤さんとデートだからね!」


デート。


先ほどから避けていた単語を言われ、あたしはまた恥ずかしくなる。


「じゃあ行こうか」
「行くって、どこにだよ?!」
「俺の好きなとこ!」


小鳥遊は明るく笑って、あたしの手を引いた。


電車に揺られること、数十分。



連れてこられたのは、ショッピングモールにある映画館。

小鳥遊が見たいとせがんだのは、ホラー映画だった。

今話題の女優がでていて、怖いと評判のそれ。

あたしは特にホラーが苦手というわけではないので、女らしく怖がることもない。


だけど、



「ここ、怖かった……」