あたしは小鳥遊の腕を引っ張り、廊下へと連れ出した。
そのままグイグイと引っ張っていき、人が少ない階段の踊り場まで来て立ち止まる。
見上げると小鳥遊は、にこにこと微笑んでいた。
その笑顔が無償にムカつくのだけど、罵る言葉も見つからなかった。
その綺麗な笑顔を見ていると、さらに自分の汚いところがよく見えてしまう。
だから何も言えない。
よく見ると小鳥遊は意外にも制服を着崩していて、なんだそんな優等生ってわけでもないのか、なんて思った。
あの暴れん坊の大我にもビビんないんじゃ、あたしにビビるわけないか……。
と、1人で納得してしまう。
「……」
あたしはその無垢な笑顔に何か言ってやろうと口を開いたが、言っても無駄だと思い、黙り込んだ。

