君に奇跡が起きますように



「なんで、こんなっ」


バク、バク、バク。

心臓の音が、聞こえてしまうんじゃないかと思って、あたしはうつむいた。

小鳥遊が動いたのがわかる。
今までのこいつの行動パターンから、きっとあたしに近づいて来て、触れてくるんだろう。

そう直感して身を固めた。

だけど、

「水澤さん具合悪い?」
「……は?」


張り詰めていた風船を、割られた気分だった。

雰囲気をぶち壊すような口調と、トーンと、言葉。

小鳥遊らしくない。



思わず顔を上げると、今度は小鳥遊がうつむいていた。