照れ隠しで慌ててシャーペンを滑らせたから、ポキリと芯が折れてしまった。
恥ずかしさを紛らわすように、芯を出しまくる。
「……ふはっ」
空気が、揺れた。
「もう、ほんとにずるいよね、水澤さんは」
「はぁっ⁉︎なに、」
怒鳴ってやろうと思ったのに。
小鳥遊は、頬を染め照れたように笑っていた。
そんな顔されたら、何も言えないじゃないか。
ずるいのはどっちだ。
「確かに、ちょっと妬いてたかも。だって、さっきの元居さ、俺が廊下にいるの気づいて見せつけるみたいに、水澤さんに絡んでたんだもん」
「もんって……」
「だから俺だって見せつけてやる!って思って。ごめんね?」

