君に奇跡が起きますように



「だから、水澤さんとデートしたいなぁって」
「わぁあっ!?言うな!!なんなんだよ、さっきからその顔!」


何度も言われるとこっぱずかしくなり、あたしは小鳥遊を制止し、呆れ顔で尋ねると、小鳥遊は拗ねたように目線をそらした。

「別に?」
「……何、考えてた?」


なんだか小鳥遊の影が見えた気がして、あたしは真顔になる。

「さあ?……それより、デートのことはまた夜に、ね」
「はっ⁉︎」


あたしが呼び止めるのも聞かず、小鳥遊は背中を向けてしまった。


「じゃあ何しに来たんだよ……」


その言葉は誰に届くことなく、宙に消えた。