水澤さんは勢い良く体を起こして、頬を染めながら叫ぶように言った。
焦ったような表情が可愛い。
愛しくて、たまらなくなってしまう。
俺はおかしくて、肩を揺らして笑った。
これも図星だったみたいだ。
でも、核心を突けばきっと逃げてしまうから黙っておくことにする。
「ふはっ、嘘だよ。聞こえないって」
「……」
どうどう。
俺はそっと頭に触れて、水澤さんを再び抱き寄せる。いつになく大人しい。
「大我が、お前に謝っておいてって」
「元居が?」
話、したんだ。
2人が名前で呼びあっていることに、俺はまだ苛立ちを感じてしまう。
殴られたことは未だに癪だ。

