君に奇跡が起きますように



「水澤さん疲れてるでしょ」


俺は柔らかく言った。

すると水澤さんはギクリと肩を揺らす。


「は」

それを隠すように、水澤さんは短く言った。

「なんかそんな気がする」

水澤さんはとてもわかりやすい。

図星だったみたいだ。

水澤さんの表情は、俺の胸に顔がくっついているせいで伺えなかったけれど、多分、面を食らった顔をしている。


「髪、触るの癖なのな」


水澤さんが抵抗しなくなったので、俺は少し力を緩めて、水澤さんと目線を合わせた。


「そうかな?」
「そう」


くるくる。

長い金髪を、指に絡めて弄ぶ。

艶のいい髪の毛は、染めているとは思えないほど綺麗だ。


「嫌だった?」
「いっ、嫌……ではねーよ」