「水澤さん?」
らしくない物言いに、少し不思議に思って、名前を呼んだ。
「……不甲斐ないな、あたしは」
その言葉と表情に、俺の中で何かが湧き上がってくるのを感じた。
「そんなことないよ」
そんなことない。
水澤さんに、俺がどれだけ助けられたか、助けられているか。
水澤さんは全然わかってないんだ。
「こうして一緒にいられるだけで、俺は楽しい。今まで、たくさん水澤さんを知れた。俺はそれだけですげー嬉しい。水澤さんからもらってるものは、毎日たくさんある」
「たか、なし」
手を伸ばし髪、滑らせて頬に触れれば、少し身を震わせる。
その瞳はどこか妖艶で。

