君に奇跡が起きますように



「あたし、寝てた?」
「うん、寝てたね」


そうか、と呟いて、俺に視線を移した水澤さんは、今度は安心したような表情を見せた。


「元気になったみたいだな」


そういえば、水澤さんはあまり笑わない。俺も、見たことあるっけ?


「おかげさまで!ありがとうね」


お礼を言うと、水澤さんの表情が曇った。
俺はそんな様子に、首を傾げる。


「……あたしは、」

少し言いにくそうに、水澤さんは言葉を発した。


「あたしは、たくさん、お前に助けられた。でも、あたしは何もしてやれてない。おかゆもろくに作れない」