『前向いてた方が、いいことあるよ』


頭の中で、いつかの言葉が響いていた。

目を開けると、さっきまでのようなダルさや、しんどさは無くなっていた。


熱は下がったようだ。

それにしても、あの程度雨に打たれたくらいで熱を出すとか、貧弱すぎる。


現に同じ状態だった水澤さんはぴんぴんしているのに。情けないな、と思う。


部屋の中は薄暗く、窓の外では夕日がすっかり沈んでいる。今何時だろう。


携帯を手に取ろうと、体を起こすと、小さく声が聞こえた。


「み、水澤さん?」