「水澤さん」
やっと小鳥遊が口を開いたかと思うと、とんとん、と手のひらで自分の隣を叩く。
ぼふん、とソファーは音を立てて弾んだ。
「……」
隣に座れ、と言いたいのだろうか。
あたしはおずおずとソファーの端の方に腰を下ろした。
そんなあたしの行動がおかしかったのか、小鳥遊はクスリと笑う。
「……っ、」
スッ、と頬に触れてくる小鳥遊。
優しい手つきと動き。
優しさを宿した目であたしを捉える。
あの気持ち悪い男を思い出し、ビクリと体が揺れる。
「……腫れてる」
静かに、小鳥遊はそう言った。
男に引っ叩かれたところだった。
「これ、どうしたの?」
「……」

