君に奇跡が起きますように



小鳥遊の言葉に自分の頰に手を当てると、確かに濡れていた。

服や髪はなかなか乾かないにしても、もう何時間も経っているんだから、肌は乾いているはずなのに。

それは確かにあたしが流したものだった。


「水澤さん」
「違うっ、泣いてなんか……」
「……うん。わかってるよ。わかってるから、部屋入ろうか」


小鳥遊の諭すような柔らかくて優しい声に、あたしは頷いた。