君に奇跡が起きますように



冷たい、寒い。

歯ががちがちと音を立てる。

このまま、凍え死ぬんじゃないかと思う。


あたしは大雨の中を、小鳥遊の家の前まで来ていた。

気がつくと足が動いていたのだから、仕方が無い。


チャイムを鳴らそうとして、やめた。

きっと小鳥遊はいない。

それがわかっていたので、なにもしなかった。

ドアの前に座り込む。


また濡れながら来たせいでベッタリと制服が肌に張り付いた。

体が重い。

まだ17時すぎだ。


小鳥遊がいつ帰って来るのかわからないが、おそらく遅いだろう。


この前電話がかかって来たのも真夜中だった。


「痛い……」


胸が、痛い。