君に奇跡が起きますように



痛いって、何が。

自分に問いかける。


頬が?


違う。


……こんなのは慣れてる。


「ちょっと!やめてよ!」

母親が、慌ててあたしと男の間に入ってきた。

殴られてからその態度か。

あたしに絡んでくるところから、止めて欲しかった。

「チッ」

男は小さく舌打ちをした。

気持ち悪い。

母はあたしの行動に戸惑いをかくせない様子だった。


いつもなら適当に流していたのに。

そして慌てて男の背中を押し、部屋に押し込む。

……家に入れないで。そんな人。

「ほら、さっさと行きなさい」


小声であたしに言う。

どこにだよ。

行く場所なんか、ねーよ。