「好きです」
その澄んだ声は、耳に柔らかく入り込んでくる。
重たい体を無理やり動かし、久々に登校した今日。
晴天の昼下がりの、昼休み。
あたしは信じられない光景を目にしている。
目の前には、話したこともない爽やかボーイが。
えーっと。
あたし今、何してたっけ?
……あぁ、そうそう。
芽留と購買に向かっててて。
中庭のこの自動販売機にあたしのお気に入りのジュースがあるら、芽留を待たせて買いに来たんだ。
で、この100%のりんごジュースを取り出し口から出したら、この人がいて……。
「……は?」
数秒遅れて、出てきた言葉がそれだった。