cherish【チェリッシュ〜恋のライバルは男!?〜】

「な、何で!?部活、の見学は!?」


慌てて涙を拭いながら尋ねる。


「いや、何か今日イキナリ体育館使われへんくなったらしくてさー。部活無くなってん!」


え、珍しい事もあるもんだ…。

「ほんで、何やーと思って帰ろうと思ったんやけど、せっかくやし、学校探索しよと思ってな!
ってなったら、まずは屋上やん?そしたら斉藤さんがおったって訳」


「そっか、部活残念だったね」


「んー…」



何となく流れる沈黙。


「「あのっ!」」


「え、何?」

「いや、斉藤さんから話してや」

何か漫画みたい…。


「えっと、じゃあお先に…。さっきの部活の話なんだけど、あれ嘘でしょ?」

「えっ!?」


…やっぱり。

「うちのバスケ部強いし、急に練習無くなるなんて変だもん。」

「そうなんや…何やー、かっこ悪いな俺」

苦笑いで頭をかく紺野君。

「ホンマは斉藤さんがもの凄い勢いで走って行くん見えてなー。どうにも気になって…来てしまった」


紺野君は優しいけど、少し罪作りだな。

こんな事言われたら、勘違いしてしまいそう。


「ほんなら俺も聞いていい?」

不意に紺野君が真面目な顔になる。

あ、やっぱこの目、引き込まれそう。

「何かあったん?」


まぁ聞かれるだろうな、とは思ってたけど、いざ聞かれると即答出来ない。