電話でのやりとりの10分後。
息を切らしてやってきた紺野君は、ホームのベンチに座る私を見つけるなり、力が抜けたようにしゃがみ込んだ。
「っ、良かったー。
生きてるわ!」
と心底安心した彼の様子に、他人事のように笑みがこぼれた。
「だから大丈夫だって言ったじゃん。」
それは10分前の電話での事。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「…今どこにおる?」
「駅だよ。
ずーっと電車見てるの。」
そこで、私の様子を探るように優しかった彼の口調が変わった。
「あほかっ!
変な事考えたらアカン!!今からすぐ行くから、そのままじっとしとけっ!」
その必死な口調から、誤解させた事に気付いた。
「大丈夫だよ。
紺野君の思ってるような事じゃないから」
「ええからっ!
とにかく、待っといて!」
‐‐‐‐‐ツー、ツー、ツー…
そして、今に至る。

