私の不安とは裏腹に、ミサキちゃんが動揺を見せたのは一瞬だけだった。
すぐに冷静な口調に戻る。
「あら、そう。
久しぶりじゃない。
元気にしてた?」
「高橋君って誰ー?」
千草ちゃんが不思議そうに、会話に入ってくる。
「心の元彼よ。
その高橋君がアタシに夢中になっちゃって、別れちゃったのよねー」
「え?!」
千草ちゃんが目を丸くして、私とミサキちゃんを交互に見る。
そう、確かにそれで別れた。
なのに何で今更…
‐‐‐‐‐‐
『俺がミサキさんを好き?
まだそうなってんの?
…あれは嘘だよ。
ミサキさんに、そう言って別れるように言われたんだ。』
高橋君が脱力しながらそう言った。
『そんなの…何の為に?!』
『何の為にって…あの人は俺達を別れさせたかったんだよ。』
嘘だよ、そんなの!
『嘘だって思うなら、本人に聞いてみてよ。
騙されたのは俺の方だよ、受験が落ち着いたら本当の事話すっていう話だったのに…』
ミサキちゃんと高橋君の間でどんな話があったのか、詳しい事はわかんない。
でも、ミサキちゃんが私達を別れさせる為にあんな嘘をつかせたなんて…
そんなの信じられない。
‐‐‐‐
「ミサキちゃん、高橋君の話は嘘だよね?
私は…ミサキちゃんの言う事を信じるから。」
「…心」
お願い。
嘘だって言って。
「…あーあ、バレちゃったわね。」

