奏太の 家へ 入ったものの
どんな顔をして 会えばいいのか
わからなくなってしまっていた。

「おーい…カメラマーン…」

つい、よそよそしく
カメラマンと 呼んでしまっていた。

声を 聞き 奏太が
玄関まで 出てきた。

「なんだ。 今度はお前か。
二日泊まったくらいで
勝手に 入ってくるな。」

「うるさいわね。
忘れ物を 届けにきてあげたのよ。
わざわざ!!」

恩着せがましく 忘れて帰った
コートを 奏太に 手渡そうとした。

「あ。それは どうも。」

コートを 受け取ろうとしたが
あかねが 腕を引っ込めた。

「わざわざ!届けに来たのに
お茶の 一杯も ご馳走しないわけ?」

「厚かましい 女だな。」

奏太は 入れとも言わず
そのまま リビングへ 歩いて行った。