「手は 出してないでしょうね?」
奏太は 呆れていた。
「目の前で どじょうすくいを
披露した 女を抱けと?」
あかねは 返す言葉がなかった…
「週刊誌に売るとか!?
あかね 泥酔 どじょうすくいの夜
そのまま カメラマンと一泊…」
「終わった…終わった…
私の モデル人生…涙涙」
なにかに 取り憑かれたかのように
ネガティブな 独り言を言うあかねを
見て 奏太は
笑うしかなかった。
「ははははははははは!笑笑
僕は週刊誌の カメラマンは
やってないから。笑」
珍しく 大声で 笑う奏太を見て
あかねは 少し きゅんとしてしまった。
「あんた笑うと 可愛いじゃん。
いつも ぴきーっと人を寄せ付けない
顔してるけど そっちの方がいいよ。」
奏太は はっと我に返った。
「うるさい。いいから
早く帰れ。仕事 遅れるぞ。」
その言葉で ようやく
目が覚めた!
身支度を素早く整え
タクシーへ 乗り込むも
奏太の 笑顔が 頭にずっと
残っていた。
