あかねさん 入りまーす!!
スタッフの 掛け声と共に
撮影現場に あかねが入った。

「よろしくお願いしまぁす」

挨拶をし ポージングを
撮ろうとする あかねは
カメラマンを 見た瞬間 固まった。

そこに 立っていたのは
奏太だった。

「はい、じゃあ あかねさん
蒼井くんに 体を寄せてみて。」

指示通り ポーズをとり 撮影が
進んでいく。

カシャ…カシャ…

「うーん。ちょっと
最初と コンセプト変えて
撮っていきます。
あかねさん、蒼井くんの
ネクタイを 掴んで 引っ張ってみて」

「はい。」

カシャ…カシャ…

「そのまま 喧嘩越しのような態度で
もう 一枚」

「もっと 強い女性のイメージで
蒼井くんを 尻に敷いてる 感じで」

カシャ…カシャ…

奏太は あの出来事を
忘れているかのように 平然と
仕事を こなしている。
真剣に いい物を 撮ろうと
している奏太に対し
あかねは あの時の事
海で見られた 自分の情けない姿をみて
本当は どう思っていたのか
色々なことが 頭をよぎっていた。