「ちょっと！どこいってたのよ！」


私が教室に戻ると、まっさきに飛んできた言葉はこれ。



「ごめん楓ｶｴﾃﾞ！音楽室でちょっと遊んできた」



嘘はついてないはず。


武山楓 ﾀｹﾔﾏ ｶｴﾃﾞは私の親友。



「…遊んでたって…音楽室で遊ぶものなんてないでしょ」


そんなことを言ってくる楓。


でも、何かを察したのか、それ以上は何も聞かなかった




「…はぁ……」


さっきの琉先輩の言葉を思い出す度、何故か胸がキュウっと締め付けられる


『明日から放課後ここ来いよ』……か。



"から”ってことは、明後日も、明明後日もだよね…？




私は、机に寝っ転がるように、ぐだーと体を伸ばした。




ﾊﾞｼ



「…った！！」



「何ボケーッとしてんだよ」



こいつは、私の幼馴染み、加藤 壮太ｶﾄｳｿｳﾀ



「…壮太には関係ないよーだ」



すると、一気に不機嫌な顔になる壮太



「…なに？恋でもしてんの？…あ、そっか。太樹か。」



「……」


その名前を聞いて、また泣きそうになる



「…ふられた。」


私は壮太にしか聞こえないくらいの声でそう言う。



「…は？」




「…だから、、ふられたの。太樹に」


すると、複雑そうな顔になる壮太


「……そっか。」


そう言って、壮太は私の頭をなでた



「じゃ、俺にもチャンスが来たのか」



「…え？チャンス？」



何でもねーよ。と言い、自分の席に戻っていった。




ふられた理由を聞かなかったのも壮太の優しさだと思う。


無駄に辛い過去を思い出させたくないのかな。