星空の日に



あたしは一呼吸おいてから口を開いた。




「宮原先輩の事で…
嫌がらせにあってたのは本当…。
けど、我慢出来た。
今までも、これからも…。」


「うん。」


「別に、今までだって
他人からどう思われてたって
気にしないで生きてきた…。
誰に好かれようが、嫌われようが、
どうでもいいって思ってきた…。」


「うん。」



「だけど…
本当は違ったの…。」


「…。」




「本当は…人一倍誰かに
嫌われるのが怖くて…
いつもいつも、我慢して
生きていくのが辛かった…。
もっと普通の家庭に生まれて
愛情を感じたかった…
あたしを必要としてくれる人が欲しかった…。」


「うん…。」


「あたしは…
誰かに愛される気持ちも分からない。
誰かを愛する気持ちも分からない…。
なのに…。なのにっ…。」



今までの辛い思い出や、
思い出したくない過去も
全部全部、忘れてしまいたいと思った。



もう、何もかも忘れて
違う人生を歩みたいと思った。









「大丈夫。」

「え…。」






気付けば、葵が
泣き腫らしたあたしの瞼を
優しく撫でていた。




「今まで…よく1人で
たえてきたな。
俺も…誰かを好きになったり
誰かから好きになられたり
どうでもいいって思ってきた。
だけど…
今ならその気持ち、分かる。」


「え…⁇」



「もう、無理して
頑張んなよ。
今まで人を信じられなかったのに
俺にこんな風に話せたのはなんで⁇」



「それは…」





葵なら信じても良いと思ったから…。

ううん…







信じたいと思ったから…。






「信じたいと…思ったから…。」





あたしがそう言うと、
葵は微笑んだ。




「なら、これから辛い事があったら
全部俺に言えよ。1人で抱え込まないで
信じたいと思った俺に言え。理解した⁇」





あたしはこの時
今まで背負い込んできたものが
すっ…と、軽くなった気がした。




「理解の悪い女は嫌い。
ちゃんと聞いてんの⁇」



「は…い…。」

「それで良し。」



あたしが頷くと
葵も同じように頷いた。