ーガタンゴトン…ー



近くを電車が通る河原のベンチに
あたしと宮原先輩は腰かけた。




「ベンチ、濡れてない⁇大丈夫⁇」

「大丈夫です。」



宮原先輩はそう言うと
ベンチが濡れていないか手で触って確認した。







「ひなたちゃんはさ、
彼氏とかいるの⁇」


「え⁇
…いないです。
というか、いらないです。」



いきなりの質問で
ビックリした…。






「どして⁇
そんなに可愛いならモテるっしょ⁇」


宮原先輩はあたしの言葉を聞くと、
不思議そうに首を傾げた。



「男で人生が狂うのは嫌なんです…。」

「人生が狂う…⁇」

「1人の方が楽なんです…。
1人の方が傷付かなくて済む。」



あの女の事を思い出すと
心の底から苛々するのが分かる。




「色々…あったんだね。」

「別に…。」







「…。」

「…。」














ー‼︎ー

しばらく沈黙が続いた後、
宮原先輩がいきなり立ち上がった。



「俺、ひなたちゃんに
認めてもらえるように頑張る。」


「え⁇」


「世の中には信じれる男も
いるんだって事、
分かってもらえるように。」



その時の宮原先輩は少しだけ、
たくましく見えたような気がした。



「あの…」
「ほら、そろそろ帰んぞー。
また曇ってきたし、雨が
降らないうちに。」


あたしの顔を見て
宮原先輩は微笑んだ。




「…はい。」



宮原先輩に言われるがまま立ち上がって
あたし達は河原を後にした。