一階に降りるとおばあちゃんが
せっせとお茶碗にご飯を
よそっていた。



あたしは鞄を置き、おじいちゃんの
お仏壇に静かに手を合わせる。
今では毎日の日課になった。

おじいちゃんはあたしがここに
預けられてすぐに、昔から
患っていた糖尿病が悪化して亡くなった。

おばあちゃんは酷く悲しんで
しばらくはずっと泣いていた。


そんな時でもあたしの母は
葬儀にすら出なかった。

自分の親なのに、親の最後に
会いにこれないなんて
あたしには信じられなかった。


だけどあたしも今の状況だったら
母が死んでもきっと会いには
行かないだろう。

結局、そういうもの。



「ひなたちゃん??」

「あ、うん。食べよっか。」



おばあちゃんの声で
我に返り、椅子に腰かける。


「「いただきます。」」



おばあちゃんの鯵のみりん焼きと
卵焼きはあたしの大好物。
あたしが美味しそうに食べると
おばあちゃんはいつも
嬉しそうだった。


我が子のようにあたしを
大事に育ててくれてるおばあちゃんに
あたしは感謝してもしきれなかった。


「おばあちゃん、いつもありがとう。」

「たくさんお食べ。」


おばあちゃんはそう言うと
また優しく微笑んだ。