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あれから三ヶ月。






厳しい冬も過ぎて、
暖かい春がこの街にもやって来た。


桜の花びらが、あちこちで
舞い散る今日この頃。



あれからあたし達は、
残りの学生生活を終えて
無事に高校を卒業した。


早奈英はあれから第一希望の
福祉施設の入社試験に
無事に受かって、この春から
社会人になる。

亮平はギリギリまで進路を悩んだ結果、
お父さんの建設会社を継ぐ為に
お父さんの会社に入って
建築の道に進む事を決めた。





そして葵は…








「忘れ物ない⁇」

「ん。大丈夫。」

「残りの荷物は後で届くって
引っ越しの人が言ってた。」

「ん。さんきゅ。」








志望していた医大に、
無事に受かって
この春から医学部に入学する。

そして今日、この街を出て
新たな人生を歩んで行く。


医学部は6年制。
入学してからも
定期試験や医師国家試験など、
やる事はいっぱいならしい…。

卒業してからも2年間は
研修医としての
研修期間が待っている。


だから最低で8年間は
葵は医師になる為に
頑張らなければいけない。



正直…
不安だし寂しいし…。







そしてあたしは…






ウエディングプランナーの道を選んだ。
なぜかって聞かれると、
ちょっと迷うけど…

今まで辛くて、酷い人生だった分、
人が最高に幸せになれる瞬間を
この目で見て、この手で作りたいと思った。


これからは黒く歪んだ世界じゃなくて、
キラキラと輝いた人生を
見ていきたいって…
そう思った。


だからあたしもこの春から、
専門学校に通いながら
式場でアルバイトをして
経験を積んで行くつもり。




それぞれ、進みたい道が出来て
内心ホッとしている。