「あ。他の奴といるの見たら
ぜってぇ口きかねぇーから。」
「へ⁇」
さっきまで微笑んでいた葵は、
思い出したようにそう言った。
「分かってんの⁇」
あたしが戸惑っているのを見て、
少しだけキツイ言い方になる。
「…それはこっちのセリフだし。」
「…ったく。生意気。」
葵はそう言うと、やれやれと
言うかのように首を振った。
「ちゃんと…連絡してね。」
「…ん。」
「行くからには、立派な医者に
ならないと許さないからねっ。」
「はいはい。」
「それと、コンビニ弁当ばっかり食べたり
不規則な生活して、
体調崩したりしてもダメだからね⁇」
「あほ。お前は母親かよ。」
「それと、それとね…」
「⁇」
「たまには…会いに来て⁇
大丈夫だよって…そう言って…
抱きしめてほしい…。」
「…ん。辛い思いさせて悪い。」
「ぐすっ…。うぅっ…。」
葵の胸の中で、あたしは
声を押し殺すように泣いた。
「泣いたらブスになるぞ。」
葵は憎まれ口をききながらも
優しく頭を撫でてくれていた。
「だってぇ…」
「お前の事ちゃんと
守れるように頑張るから。
だから泣くな。」
寒空の下、この日葵はそう言って
何度も何度もあたしを慰めては、
何度もあたしに言い聞かせるように
「頑張る」と言い続けた。
葵がこの街を去ってからも
きっとあたしはここに来る。
辛い時も悲しい時も、
楽しい時も嬉しい時も…。
そしてここに来ては、
あなたとの思い出を振り返る。
あなたと眺めた星空は、
あたしにとって
かけがえのないもので…
これから先もあたしにとって
特別な場所なのは変わらない。
例え住む場所は違っても、
見上げる星空は同じで
ありますように。

