星空の日に








「580円になります。」

「はい。」


「丁度お預かり致します。
ありがとうございましたー‼︎」








お金を払って店を出る。


店員さんはカーネーションを何本か、
花束にして可愛くしてくれた。


花束を持って、お母さんが亡くなった
場所へと歩いていく。






「ひなた。」

「ん⁇」



ー‼︎ー



その時、


葵に声をかけられて立ち止まると、
首にかけていたマフラーを
巻き直してくれた。



「あ、ありがとう。」

「ちゃんとしなきゃ風邪引く。」

「…うん。」




こうした葵の一つ一つの行動や、
気遣いが心から嬉しく思えた。














「…着いた。」

「うん…。」




しばらく歩いて足を止める。
沢山の車が行き交う道路。

一年前の今日、お母さんと
最後に言葉を交わした場所。


この辺りはスピードを出す車が多く、
あの事故の後、警察のパトロールも強化された。




道路端にある電柱の下に
さっき買った花束を
そっと置いて手を合わせる。




「…お母さん。
あれから一年…あっという間だったね…。」


「…。」


葵もあたしの横で静かに目を閉じて、
手を合わせていた。




「…あたしは相変わらず元気だし、
何も変わりない。あの頃は…
お母さんの事を殺したいほど
憎んでたし…二度と顔も見たくない
って思って来たけど…。
今はね…すっごく会いたい…。
もう一度…もう一度でいいから
あたしの顔を…ちゃんと見て
大きくなったねって…。」

「ひなた…。」

「うぅっ…‼︎」





ここに来ると色んな事を
一気に思い出し過ぎて、
心がついていかない。


肩を震わせながら涙するあたしの肩を、
葵が優しく抱いてくれていた。




あの事故でお母さんが死んだ事は、
この世界の人達は知らなくて。
見ていた人達も、きっと忘れている。

お母さんが死んだ事なんて、
この世界では本当に
ちっぽけな事なんだと、
つくづく思い知らされる。





お母さん…。
そっちではちゃんと目は見えてる…⁇
あたしがこうして生きているのを
ちゃんと見てる⁇


お母さん…。
本当に本当に…
会いたいよ…。