星空の日に





宮原先輩と二人っきりになる。



「本当に久しぶり。」

「はい…。」

「今、大学の冬休みで
こっちに帰って来てんの♪」

「そうだったんですね…。」



宮原先輩は卒業後、
サッカーをする為に
県外の大学に進学した。



「あの時の約束。覚えてる⁇」

「え…。」







…あの時の約束。

宮原先輩が卒業するあの日。
あたしは宮原先輩に呼び出された。










* * *






卒業式後の正門前。




「あの、話って…。」

「今日で最後だから。
最後に聞いてくれる⁇」

「⁇…はい。」






「初めて会った時からひなたちゃんには
なんかこう…感じるものがあった。
本当は色んな悩みを持ってるのに
頑張って生きてて…。すっげぇー
かっこよく見えた。俺には無いものを
沢山持ってて…。あったかくて…。
他の人には無いものを感じた。」


「先輩、それはちょっと言い過ぎじゃ…。」


「ううん。ひなたちゃんは
俺にとって太陽みたいな存在。
俺、こんなに誰かを守りたいって
思ったのは初めてなんだよね。
ひなたちゃんの笑顔も全部。
本気で、本当に、すっげぇ好き。」


「‼︎」


「けど…好きな奴の幸せを
願えない男は、男じゃない。
だから俺は…悔しいけど
身を引くつもり。」


「先輩…。」


「だけど‼︎諦めるって訳じゃないから。
前も言ったようにあいつに泣かされた時は
俺は容赦無くあいつから奪う。
もし…いつかまた何処かで
会った時に心から幸せだって
思えていない時は…
俺の気持ちを受け取ってほしい。」













* * *








宮原先輩の最後の言葉を思い出す。



「忘れちゃった⁇」

「…覚えてます。」


あたしは宮原先輩の言葉に
静かに頷いた。



「今…ちゃんと幸せ⁇」

















「…はい。幸せです。
色んな事があって…辛い事も
泣きたい事も沢山あったけど…
それでもあたしは葵のそばにいたい。
葵が言う『絶対』を、あたしは
信じてみたいんです…。
だから…その…。
ごめんなさい…。」






あたしは宮原先輩に
静かに頭を下げた。

これがあたしの正直な気持ちだ。





「そっ…か。
うん。これでやっと吹っ切れる。
今日会えて本当に良かった‼︎」



宮原先輩はそう言うと、
ニコッと笑って見せた。



「俺、今ねプロ目指してんの。
プロになってテレビに出た時は
ちゃんと応援してよね♪
サイン貰うなら今のうちだからね〜♪」


「はは(笑)
そうなんですね。
ケガには気を付けて
頑張って下さいね。」


「うん♪ひなたちゃんもこれから
色々頑張ってね‼︎
…じゃー俺そろそろ行くわ♪」


「はい。」


「またね〜♪」









「ひなたちゃん‼︎」

ー‼︎ー






「幸せになってね‼︎」










宮原先輩はそう言うと、
あたしに背を向けて
走って行った。




宮原先輩は本当に優しくて、
いい人だったとつくづく思った。