「これって…。」
「うん。君の幼い頃の写真だ。」
葵のお父さんから手渡された物。
それは、あたしの4歳の誕生日の時
お母さんと二人で撮った写真だった。
あたしとお母さんが二人で
最後に撮った写真。
そして…
最後に祝ってもらった誕生日。
「どうしてこれを…⁇」
「写真の裏を見てごらん。」
「…⁇」
ー‼︎ー
・ひなた5歳の誕生日
祝ってあげられない最初の誕生日。
あの子はどうしてるかしら…。
・ひなた6歳の誕生日
もう年長さんね…。
卒園式出たかったなぁ…。
・ひなた7歳の誕生日
祝‼︎小学校入学‼︎
今日から頑張れ一年生‼︎
・ひなた8歳の誕生日
あっという間に2年生ね…。
少しはお姉さんになったかな⁇
・ひなた9歳の誕生日
身長はどのくらい伸びた⁇
体重はどのくらいになった⁇
あなたの成長を見ていたい…。
「…。」
写真の裏にはあたしの誕生日の日に、
毎年何かしら書かれていた。
「ひなこは…君の誕生日の日には、
毎年ケーキを買って来て、
そうやって唯一持っているその
写真の裏に自分の気持ちを
書いていたんだ。」
・ひなた15歳の誕生日
中学卒業おめでとう‼︎
これからどんな人生を
歩んで行くのかしら…。
・ひなた16歳の誕生日
もう会えなくなって12年も
経つのね…。私の顔や声…
あの子は覚えてくれているのかな…。
・ひ た17さ い 誕生 び
ひな た あい た
あいた い
あいして ら
ごめんな さ
「君が17歳の誕生日の時。
その頃には人の姿や顔は薄っすら
見えていたんだが…
文字や小さな物は確実に
見えなくなってきていた。
見えない中、涙を流しながら
書いていたのを覚えている…。」
誤字脱字が酷い文字は、
いかに見えなかったのかが
痛いほど伝わって来た。
こんな風に思っていたんなら
もっと早く…
会いに来てくれたら良かったのに。
あたしはなんとも言えない
その感情を押し殺すかのように
写真をぎゅっと握りしめた。

