ーガチャッー
「お待たせ。」
しばらくして、葵のお父さんが
部屋に入って来た。
あたしと葵の目の前に座る。
いざ、こうしてみると
緊張と色んな気持ちが
入り混じって複雑だった。
「っすぅー…。」
葵のお父さんはスーッと
息を一息吸って話し始めた。
「俺はしばらくしたら
また病院に戻って色々な
手続きや葬儀や通夜の
日程を組んでくる。
その前に…ひなたちゃんに
話しておきたかった事がある。」
「はい…。」
「ひなこが家を出た理由は
葵から聞いたと思う…。」
「…。」
「あの頃は…ひなこの気持ちが
何よりも大切だと思っていた…。
あいつがしたいように
させてやりたい…俺はただただ
そう思っていた。
ひなこの家族や、俺の家族…
周りの気持ちにあの頃の
俺達は無関心過ぎたんだ…。」
「…。」
あたしはただ黙って、
葵のお父さんの話を聞いていた。
「あいつが見えなくなっていく
そんな恐怖の中で…
俺は何をしてやればいいのか…
結局13年間…答えは何一つ
出てこなかった。
今思えば…ひなこの気持ちを
押し切ってでも家族の元へと
帰すべきだった。
本当に本当にすまなかった…。」
「…。」
頭を下げる葵のお父さんを見ると、
本当に辛くて申し訳ない気持ちになった。
「許してくれとは言わない。
ただ…ひなこの気持ちを
伝えておかなきゃと、思ってね…。
これを…。」
「…⁇」
そう言われて、葵のお父さんから
ある物を手渡された。

