* * *
運ばれた病院で、
涙で前がよく見えない中、
最後のお母さんの顔を見た。
息をひきとる…
その瞬間まで目を離さなかった。
最後の最後まで自分勝手な母親だ…。
ずっと憎んで来た。
はずなのに…
全ての真実を知った今、
やりきれない気持ちで
あたしはどうにかなりそうだった。
あたしが今までどんなに
会いたくても…
帰って来なかったのに…。
どんなに待ち続けても、
名前を呼んでもらえなかったのに…。
今更現れて
こんな風に逝っちゃうなんて…
「あたしの自分勝手な性格は…
きっとお母さんに似たんだね…。」
慌ただしかった病室も、
お母さんが息をひきとるの同時に
静かになってしまった。
降り出した雪が
しんしんと積もっていく。
「12月24日、午後19時36分。ご臨終です。」
医者の死亡宣告も
ラジオみたいなただの
他人事のように聞こえた。
「内臓が酷く損傷しており…」
難しい言葉を並べた
死亡原因の説明も
頭に入って来なかった。
あたしはただ、その場に立って
お母さんの顔をずっと
見ている事しか出来なかった。

