「ひなこ‼︎‼︎ひなこぉぉっ‼︎‼︎」




そばに近寄ると、葵のお父さんが
血だらけになった女を強く
抱きしめていた。


「救急車を‼︎誰か早く‼︎‼︎」

「警察も‼︎」

その光景を見ていた周りの人達が
急いで救急車と警察を呼んでくれていた。






「す…すすすす、すみません‼︎」

すると、
トラックから運転手の男の人が、
酷く動揺した様子で降りて来た。



「お前‼︎ちゃんと
前を見ていたのか⁉︎」

「親父‼︎よせっ…‼︎」


葵のお父さんはそう言うと、
降りて来た運転手に掴みかかった。


「こ、こ、この人がいきなり
飛び出して来たものですからっ‼︎」

「ひなこは…目が見えないんです‼︎‼︎
ドライバーのお前がもう少し
スピードを落としてよく見ていたら…‼︎‼︎」

「そ、そんなっ…」

「親父‼︎‼︎」




周りがざわつく中で、
あたしはただその場に
立ち尽くしていた。



血が…
アスファルトの上に流れていく。

倒れたまま目を閉じて
動かなかった。













「…なさいよ…。」

「ひなた…⁇」


「起きなさいよ…‼︎‼︎
あたしはまだあんたを
許してなんかない‼︎
これ以上…あたしから
逃げようなんてしないでよ‼︎‼︎‼︎」




あたしは倒れている女を
強く揺さぶった。



「お願いだから…起きて…。
あたしにもあんたを許す
時間をちょうだいよ…‼︎‼︎
こんなんじゃ…許そうにも
許せないじゃない…‼︎」


「ひなたっ‼︎」


涙が溢れ出すあたしを
見ていた葵は後ろから
強く抱きしめた。


「いやだぁぁぁぁ…‼︎‼︎」





あたしの叫び声が
辺りに響いた。