「ひなこーっ‼︎‼︎‼︎‼︎」
「…。」
その光景を見たあたしは、
その場に立ち尽くした。
ードクンッ…ー
心臓が大きく脈打つ。
あたしの中で…
何かまた一つ消えていく気がした。
あたしの目の前には、道路の真ん中に
倒れ込むあの女とフロントガラスに
ヒビが入って前方のバンパーが
激しく損傷しているトラックがいた。
「ひなたっ‼︎やっと見つけた…‼︎
お前こんな寒いのにどこにっ…」
立ち尽くすあたしの背後から、
葵の声がする。
「葵…これって夢だよね…⁇」
「は⁇お前何言って……⁉︎」
葵はあたしの言葉に一瞬、
首をかしげながら道路を見た。
「ひなた‼︎何してんだバカ野郎‼︎‼︎‼︎」
葵はそう言いながら、あたしの手を
強く引きながら道路の真ん中へと走った。