「ひなたちゃんっ‼︎‼︎」
葵のお父さんの声を無視して
どこに向かうわけでもなく
家を飛び出したあたしは、
目の前の道路を横切って
向こう側へと渡った。
もうこれ以上、何も話すことは無い。
未練も、悔いも…何も無い。
もう二度と…
会わないと心に誓った。
ープップーーーーーー‼︎‼︎‼︎ー
そう思いながら、角を曲がって
路地裏に入ろうとした時だった。
車のクラクションの音が
辺りに激しく鳴り響いた。
ードンッ‼︎‼︎ー
それと同時に、何かに強く
当たる鈍い音がした。
「…⁇」
その音に驚いたあたしは、
来た道を恐る恐る戻った。
「…。」