家までの帰り道。
車通りも少なくなって静かな道を
二人で並んで歩く。
一人で歩いていた頃は、
家までの道のりが遠く感じていたのに
今では少しでも一緒に歩きたくて
ゆっくりと歩く。
「送ってくれてありがとう。」
ゆっくり、ゆっくり歩いたはずなのに
あっという間に家の前に着いてしまった。
「ん。風邪引かないように
ちゃんと温かくしろよ。」
「葵も気を付けて帰ってね。」
「ん。じゃ…おやすみ。」
名残り惜しそうなあたしを見て、
葵も少し寂しそうな表情を
見せながらも、いつも通り
片手を挙げてあたしに背を向ける。
「おやすみなさい…。」
あたしも葵の背中を見つめながら
家のドアノブに手をかける。
「ひなた。」
「⁇」
家の中に入ろうとした時だった。
歩き出したはずの葵に呼び止められる。
「どうしたの⁇」
「少しだけ…お前に話がある。」
「はなし…⁇」
真剣な面持ちの葵に戸惑いながらも、
あたしは葵を家の中に入れた。

