赤いリボンをほどいて、
ドキドキしながら箱の中身を見る。



ー‼︎ー




「うわぁ…可愛い‼︎」




箱の中には手の平に
乗るくらいの小さな
テディベアが入っていた。

パステルカラーのピンク色の
ワンピースを着ている。




「こんなに可愛いの
どこに売ってたの⁇」

「駅前の雑貨屋。」

「え⁇駅前の⁇」

「ん。」


あたしが問いかけると
葵は静かに頷いた。


あたしが寄った雑貨屋…。
そう言えば…
あの店員さん、数日前にも
あたしみたいな人が来たって…。


「ふふふふ…。」

「お前なに1人で笑ってんの⁇」

「ううん。何でもない♪」



2人して同じ店に寄っていた事を知って、
何だか自然と笑みがこぼれた。


「それ。よく見てみ⁇」

「え⁇」



葵はそう言うと、あたしの手にある
テディベアを指さした。


言われるがまま、
テディベアをよく見てみる。







「あ…。」





よく見てみると、そのテディベアの
首にはネックレスがかけてあった。

ネックレスには
指輪が通してある。



「口下手だから。なんて言っていいのか
全然わかんねぇんだけど…。
なんて言うか…これからもよろしくな。」


「葵っ…。」




葵からの精一杯の言葉で
あたしの胸は熱くなる。


「あたしの方こそ…よろしくね。」

「ん…。」

「あのね、あたしからも
渡したい物があるの。…はい。」

「お…。さんきゅ。」




さっき包んでもらった物を
鞄から取り出して葵に手渡すと、
葵は少し驚いた様子で受け取って中を見た。




「あたしの真心…
ちゃんと伝わったか分かんないけど…
葵の事、いつも大切に思ってる。」

「ん…。分かってる。
大事にする。」




葵はあたしがプレゼントした
ブレスレットを左腕につけて
嬉しそうに微笑んだ。




ー‼︎ー



その時ー



あたしの頬にほんのり
冷たい物を感じた。



「うわぁ…。」


空を見上げると厚い雪雲に覆われて、
雪がちらほらと降り出した。



「ホワイトクリスマスだ…。」

「風邪引くぞ。」


葵は雪に見惚れているあたしを
傍に引き寄せると、
首に巻いていたマフラーを
巻き直してくれた。



「あ…ありがと…。」

「ん。」




あたしの言葉に頷くと、
それからずっと
あたしの手をぎゅっと
握ってくれていた。






大切な人と過ごす初めての
クリスマスは、あたしにとって
大切な思い出になった。


生涯、決して忘れない
大切な大切な思い出。




それからー
冷たい風が吹く中、
あたしと葵は手を繋いで
喧嘩していた時間を
取り戻すかのように
木の下に寄り添って座っていた。