「本当に綺麗…。」

手を引かれながら
木の下に立つ。

街のどこのイルミネーションよりも、
葵が一生懸命、準備してくれた
このイルミネーションの方が
ずっと、ずっと綺麗に思えた。


「片付けは2人でな。」

「えー。少しだけね〜。」


悪戯っぽく笑う葵に、
あたしも冗談で返す。


ほんの少し前まで喧嘩を
していたとは思えないくらい、
和やかな雰囲気になっていた。



「こんなのいつ準備したの⁇」

「学校終わってからとか。」

「その間にあたしがここに来てたら
どうするつもりだったの⁇」

「そんなん考えてなかった(笑)」

「ばーか(笑)」



やっぱり…
葵の笑顔を見れただけで
あたしの心はこんなにも満たされる。

本当に本当に…
会いたかった。




「ひなた。ん。」

「⁇」




そんな事を思いながら、
葵の顔を眺めていると
葵は綺麗にラッピングされた物を
あたしに手渡した。


「これって…。」

「喜ぶかわかんねぇーけど。」


そう言って葵は、
少しだけ頬を赤らめて
下を向いた。


「開けてもいい⁇」

「ん。」


頷く葵を見て、
あたしは木の下に座った。