駅前から少し歩くと、
いつもの歩き慣れた道に出る。
「はぁ…はぁ。」
早歩きのせいか、
少し呼吸が乱れていた。
1分1秒でも早くと、
空き地へと急ぐ。
しばらくして空き地が見えて来た。
「葵っ。」
ー‼︎ー
空き地に着いたあたしは、
葵を呼んだのと同時に
その場に立ち尽くした。
「これって…。」
あたしが目にした空き地の
大きな木にはキラキラと光る
イルミネーションが付けられていた。
いつもとは違う光景に戸惑う。
「案外早かったな。」
あたしの存在に気付いたのか、
葵はそう言いながら近付いて来て
あたしの目の前に立つ。
「ちょ、ちょっと待って⁇
全然っ理解出来ない。」
「なにが⁇」
「だってこのイルミネーション…。」
「亮平と早奈英が手伝ってくれた。」
「なんの為に…。」
「…。」
ーピシッー
「いたっ…。」
あたしがきょとん、と首をかしげると
葵はあたしのおでこに軽くデコピンをした。
「ここの方がゆっくり
出来ると思ったから。」
「え⁇」
「正直、クリスマスとかそんなもん
どうして良いのか分からなかった。
俺だって初めてだし。
どーゆー事してやれば、
お前が喜ぶかとか、わかんねぇし。
色々考えたけど…お前とこうして
二人だけでいられんのはここしか
ねぇーのかなって…。」
葵はそう言うと、
少しだけ頬を赤らめながら
うつむいた。
「じゃあ…あんな風な
言い方したり…
連絡くれなかったのは…⁇」
「あんな言い方して悪かった。
お前にバレないように
準備するので手一杯だったんだ。
連絡しなかったのもわざと。すまん。」
お前に関係ないって…
そう言ったのは…
あたしにバレないようにする為の
葵なりの言い方だったんだ。
それが分かっただけで、
あたしの心のモヤモヤは
一瞬にして晴れてしまった。
「こっち来い。」
葵に優しく手を引かれ、
あたしは葵についていく。

