人が廊下を行き交う中、
あたしも葵と会わないように
速歩きで廊下を歩く。
「ひなた⁇」
そんな時。
男子トイレから出てきた亮平と
鉢合わせする。
最悪…。
こんな時に限って、
亮平は何かとタイミングが悪い。
「お前、鞄なんか持って
ホームルームまだくない⁇」
「いや…それは…。」
案の定、亮平に捕まったあたしは
廊下で立ち往生するハメになった。
「葵となんかあったろ。」
「別に…。」
あきらかに何か知ってそうな亮平。
あたしの顔をじーっと見ては、
怪しそうな表情をしていた。
「あいつ、お前が思ってるよりも
お前の事大切に思ってるぞ。」
「え⁇」
亮平の言葉に少しだけ、
胸が苦しくなる。
でも…それでも…、
あたしだってクリスマスくらい…
カップルらしいことしたい…。
亮平達みたいに楽しい
思い出を作ってみたい。
あたしの中には
悲しい思い出が多すぎるから…。
素直に言えたら…
どれだけいいのかな…。
「そんなの…相手に
伝わらなきゃ…意味ない。」
嘘だ。
本当は十分すぎるくらい
伝わってるのに…。
素直になれない自分が
どうしようもなく情けなくて
自分に腹が立つ。
「ごめん。またね。」
「おい、ひなたっ‼︎」
呼び止める亮平を無視して
あたしはその場を後にした。

